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旅の始まり(その2)
シャルルドゴールからの乗客は、また次のアフリカの目的地に向けてしばらくの時間をトリポリの待合室で過ごすことになる。その待合室はつまり、出国審査を終えた場所にあり空港という同じ建物内にあるがどこにも属さない(国外であるが外国ではない)地帯となっている。そして待合室に続くちょっと狭くなった通路にはトランジット窓口があり(もといコントロール)次の目的地に向かう乗客のパスポートと航空券をチェックする。簡単な荷物チェックのあとのコントロールで私はあっさり「問題あり」の人物として、後回しにされ窓口脇のベンチに座って待たされてしまった。それほど多くない乗客のチェックがすべて終わったときにようやく私の番がやってきた。

アフリカ人コントロール「君はどこに行くんだ?」
「ニジェールのニアメです。ほら航空券です。」
コントロール「ビザはどこにあるんだ。」
「ビザ?」
コントロール「ニジェールのビザのない乗客はここを通せない?」
???????
ビザ~~~~~?????知らない!!!ビザ?ビザ?ビザ~~~~???
え~~~~~~????
「まったまた~。あっ黄熱病のワクチン証明書のことね?ここにあります」
コントロール「これじゃない。ニジェール大使館が発行した入国許可ビザだ」
「そんなのありません。」きっぱり
コントロール「じゃあここは通せない、帰りの航空券をつかってパリに引き返すしかないな」ですって。
何だって~~~~ビザが必要なんて初耳!!!数日前のモロッコ(アフリカ)はビザなんていらなかったし。麻里子ちゃんもなにも言ってなかったし。どうもこのコントロールはなにかを勘違いしているらしい。アフリカ人によくありがちなんだよね。困るなぁ。
ただこの国公用語が英語。英語が出てこない・・・言いたいことが満足に言えない。私ってこんなに英語だめだったけ・・・(汗)麻里子ちゃんがいれば・・・!
「友人がニジェールにいるんです、彼女はいろいろ詳しいので直接話してくれませんか、そのほうが早いので」というと、電話をかけてやるから電話番号をかしてみろという。
そしてコントロールの詰め所(?)の電話からニアメで今日最後の仕事をしているであろう麻里子ちゃんに電話。
「あっ麻里子ちゃん~??周子です~^^今トリポリのトランジットコントロールにいるんだけど、なんかねニジェールのビザがいるっていうんだけど、そんなのいるの???なんか知ってる???」
麻里子「ビザ・・・・ない・・・?えっ?ビザがない~~~~????うそ~~~~!!!」と麻里子ちゃん。
「えっ???いるの?それで、ビザがないとここを通さないっていわれちゃってるんだけどさぁ」
麻里子「ビザ?いるんだろうね。たぶん」とあっさり肯定。うそーん。否定して~ん。

本当にやばいかも。ビザなんてこと一ミリも頭をよぎらなかったんですけど。麻里子ちゃんがいて、麻里子ちゃんが誘ってくれて、私が喜んで誘いに応じて、航空券を買って、ワクチンをうってその証明書を忘れなければニジェールにいけると思っていた。入国に関して確認もしなかった。
と・・・とにかく「トリポリのコントロールにかわるからっ」と無理やり電話をかわり、棚にもたれかかってて2人の会話の成り行きを見守る。
「彼女はビザを持ってない・・・」
「ここは通すことができない・・・」
「・・・それは無理だ。・・・パリに帰ってビザを取るしかない。」
「明日の朝のパリ行きに乗って帰ってもらう。」
「・・・それは絶対無理・・・・・・入国できない・・・」
と否定的な言葉が・・・延々と響く。ようやく事態の深刻さがわかってきた間抜けな私。

やばい・・・。本気でビザが必要だったらしい・・・。えっ?すでに5時間近く飛行機に乗ってきたのに、明日パリにトンボ帰り???
だいたい「トリポリってどこだよ~~~~!!!」
トリポリはリビアでした。どこだかもわからないアフリカの国で言葉も満足に通じず、往生する日本人。はい私です。明らかに危険人物じゃない珍しいアジア人少女(と言わせてください)の世にも情けない事態に他の職員も気の毒顔、呆れ顔。君には悪いけどどうすることもできないよ、とでもいいたげな。
再び私に巡ってきた受話器にかじりつくように麻里子ちゃんに「で・・・どうだった?」と聞く。麻里子の声は暗い。いや~ん。
「だめだって、昔はビザはニジェール空港で申請できたらしいけど、今は変わって事前に申請しておかないとだめらしい。リビアのニジェール大使館でビザが取れるといいんだけど、リビアのビザももっていないから入国もできないし、せめてリビアに入れればね。50分後にトリポリの職員がもう一度電話くれるまでに、なんとかならないか調べてみるね。あんまり期待しないでおいて。」といって麻里子は電話を切った。

・・・シーン・・・

50分後の電話まで特別にここを通って待合室で待っていていい、とコントロール。そしてパスポートと乗り継ぎ航空券を代わりに預けさせられて、地獄のウェイティングタイムとなった。
まとまらず現れては消える、さまざまな考えの断片。脳に浮かぶさまざまな色彩。密度が変わる意識。こんなときこそ落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせ、持っていた本を広げるも文字を目がなぞるばかりでまったく内容が頭に入らない。あきらめて本を閉じ・・・可能性とそれに対してどのようにするか(するしかないか)を頭の中でまとめようと努める。
この間、麻里子ちゃんは私のために奔走してくれているに違いない。仕事がら、決して一般人でない麻里子ちゃんの力に賭けたいと安易な考えが脳を支配したかと思うと、いやいや、だめだったときのことを真剣に考えなければという、自分に鞭打ちつらいシュミレーションを試みたりもする。

今までいろいろあったけど、間違いなく人生初めての絶体絶命のピンチに陥ったと悟った。

パリ行きの飛行機は一番早くて翌日の9時。パリに着くのが14時前、そのまま空港に一番近いホテルを取り、チェックインをして荷物を置いたらその足で大使館に向かいビザを取得(ビザはその場で取れる)翌日の航空券を改めて買い求め、翌日改めてニジェールに向け出発。そうすれば5日間はニジェールにいられる。私のために仕事をの都合をつけて休暇をとってくれた麻里子ちゃんに対して、ニジェール行きを飽きられめるという選択肢はなかった。なにより、そんな形で私の2年間の留学生活を締めくくりたくはなかった。
そして、いままで数々の武勇伝をつくった私だけれど、この話は葬り去ろうと決意した。こんな間抜けな話絶対誰にもできない。もし改めて往復航空券を買うことになったら避けられない痛い出費は人の記憶どころか自分の記憶からも消し去ってしまいたいはず。ひたすら封印し続けて、心の傷がいえるまで自分の中に閉じ込めておくのが一番いいに決まっている。
そんなことを考えていると、1日のように長く思えた50分がやってきた。コントロールから呼ばれ麻里子ちゃんとの電話に出る。判決を受ける被告のような心境で麻里子ちゃんの言葉を待つ。
声は暗い。
「やっぱだめだわ。でもだめもとでニジェールの空港まで来てみる?それとも明日の便でパリに帰る?もしかしたら、もしかしたらニジェールの空港で交渉ができるかも。」
私は「行くよ!もしだめでも、私明日パリに帰って、ビザを取ってあさってまた戻ってくるよ」と即答。この即答に麻里子ちゃんはちょっとびっくりした様子だったが、すぐに「わかった、じゃあ予定通り空港に迎えにいく、会えないかも知れないけど」とお互いの意思を確認し合って、トリポリのコントロールに「今は有力な保障はないけど、これから方法を模索するから、とりあえず彼女を予定通りの飛行機に乗せてやってほしい」と頼んでくれた。このときには、コントロールは私たちの行く手を阻む敵ではなく、なぜか応援モード。「賄賂を渡してでもうまくやれ、健闘を祈る」と激励してくれた。

私が即答した理由は2つ。1つはもしニジェールに入国できなかったとしても、ニジェールからトリポリの便はどっちにしても乗るはずの明日の9時のパリ便に接続していること。もう1つはやってみなくちゃわからないということ。

そして私はビザのないままニジェール行きの飛行機に乗った。

つづく
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